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ビートルズを語った書籍は世界中で出版されているが、本書はビートルズの前身となったバンド「クオリーメン」で活躍していたジョン・レノンと、ポール・マッカートニーが出会ったその日にスポットを当てたユニークなもの。2人が出会った日は、やがて世界に大きな変化をもたらしたビートルズという魔法の始まりの日である。作家、そしてジャーナリストでもある著者は、山のような資料の中から、ジョンとポールが出会ったその日が、これまでの資料にある「1957年6月15日」ではなく「7月6日」であったことを確信し、以後、8年間を裏づけを取るための情報収集に費やした。
本書はまず、その7月6日の朝3時33分、リバプールのメンローブ・アベニューで、まだベッドの中でぐっすり眠っているジョンの描写から始まる。この日の空、天気、ニュース、世界のできごとなどを絡めながら、しだいにアラートン地区フォースリン・ロードに住む、まだバンドに入ることなど思ってもいないポールに移っていく。ジョンは教会のバザーの催しに出演し、ポールはただ、友人の紹介でこのバンドを見に行く。2人が出会い、そして別れるまでの1日が詳細に、しかもクールに描かれている。
ノンフィクションのドキュメンタリーである。さまざまな歴史のなかではほんの一瞬の、世界地図の中でただひとつの点ともいえるリバプールの町中でのできごとが、ここでは天から一条の光を浴びたかのように、さんさんと輝いている。ビートルズの功績は万人周知の事実である。だからこそたった1日をつづった本書が、ドラマ性に満ちたものになった。(名村菜依子)
1960年代においてビートルズといえばトップスター中のトップスター。本国イギリスはもちろん、世界中のティーンエイジャーたちのあこがれを一身に集める存在だった。そんな時代のビートルズに数回にわたってインタビューした日本人ジャーナリストが1人だけ存在した。その人こそ、当時ミュージック・ライフ誌の編集長だった本書の著者、星加ルミ子だ。
本書は、彼女がビートルズを取材した1966年の日本公演とアメリカ・ツアーや「マジカル・ミステリー・ツアー」のレコーディング風景、そして1965年6月の初対面の模様などを振り返った回顧録的な本だ。文章は比較的淡々としていて、30年以上の時間を経ているせいか、ビートルズに対するスタンスはかなり冷静かつ客観的なものだが、もっとも興味深いのはやはり、ビートルズが現役だった当時には書けなかった彼らの発言や行動などに関する記述。たとえば来日中、ヒルトン・ホテルでカゴの鳥のような生活に辟易したジョンが「ビートルズはまもなく解散します」と口走ったことなどは、ごく親しい著者でなければ知り得なかった事実。そんな4人の笑顔に隠された本音を示すエピソードを通じて、ビートルズの人間臭い部分が見えてくるのがこの本の最大の魅力となっている。(星野吉男)
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